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他方,原告らは,更新登録拒否事由の存否が不明である場合には,その存 在を認定すべきである旨主張する。
しかしながら,抵当証券業規制法は,も ともと規制がなく自由に行われていた抵当証券業について開業規制を及ぼす ために導入され,営業の自由を可及的に尊重すべく登録制が採用されたとい う経緯や,「その登録を拒否する場合を除くほか,次に掲げる事項を抵当証 券業者登録簿に登録しなければならない。」(5条柱書)という法文上の文 言に照らし,登録拒否事由が存在することの立証責任自体は,登録申請者に 対する関係では,財務局長等にあると解するのが自然である。
したがって,財務局長等は,更新登録申請書及びその添付書類の記載,並 びに立入検査等によって別途把握した事実に照らし,当該抵当証券業者の更 新登録を拒否すべきことが明らかである場合はもちろん,そうでない場合に も,財務局長等がそれまでに監督権限の行使等を通じて収集した資料に基づ き,当該抵当証券業者が破綻する危険性が切迫している徴候を把握した場合 には,抵当証券業規制法の下で認められた立入検査等の監督権限を,その合 理的裁量に基づいて当該抵当証券業者に対して適時にかつ適切に行使し,必 要に応じてその専門的知見に基づく合理的推認等の手法をも用いて事実を認 定した上,通常必要とされる程度の慎重さをもって更新登録の可否を判断す べき職務上の注意義務を,当該抵当証券業者からその更新登録後に抵当証券 を購入した個々の国民に対して負っていると解されるのであって,財務局長 等がその人的物的制約の下で適時にかつ適切に監督権限を行使しさえすれば, 更新登録拒否事由の存在を容易に認定することができたにもかかわらず,漫 然と更新登録を認めた場合には,その権限行使の態様が著しく合理性を欠く ものと判断され,国賠法上も違法の評価を受けるというべきである。
そして,争点1で概観したような登録更新に係る財務局長等の規制権限を 定めた抵当証券業規制法の趣旨,目的及びその権限の性質等に照らすと,財 務局長等が看過した更新登録拒否事由が抵当証券業規制法6条1項7号所定 の財産的基礎の欠如である場合には,財務局長等による更新登録が著しく合 理性を欠くか否かは, 財務局長等が更新登録に先立って知り,又は監督 権限の適時かつ適切な行使によれば容易に知り得た情報に照らして,当該抵 当業者が破綻する危険性がどの程度切迫していたといえるか, 財務局長 等による監督権限の行使に係る方法・時期等の選択における合理性の有無及 びその逸脱の程度, 更新登録によって惹起された損害の規模及び性質 (特に,被害者においてその回避を図ることを合理的に期待することができ たか否か),並びに 財務局長等による監督権限等の適切な行使と更新登 録拒否事由の存在の認識可能性を,更新登録の前後の経緯等に照らして総合 的に判断して決すべきものと解される。